特別受益・寄与分についての証拠の必要性

Q 特別受益や寄与分について,証拠がないと,家庭裁判所の調停で認められること

はないのでしょうか。

 

A 特別受益や寄与分について主張する場合,やはり,客観的な裏付け資料の存否が重要な要素となります。

 しかし,調停においては,客観的な裏付け資料がないと認めないという運用とはされていません。

 他の相続人からの実情の聞き取りの積み重ねにより,特別受益や寄与分が認められることもあります。

 相談される場合は,できる限り,誰から,いつの時期の(いつからいつまでの時期の),どのような事情を聴きとっていっていただく必要があるのか,どのような資料を誰から出してもらう必要があるのかなどを具体的に想定して,弁護士に相談されることをお勧めします。

 なお,一般に,親族(例えば子)は,もともと協力扶助義務というものがありますので,その範囲の贈与や寄与は,特別受益になりませんし,寄与分として認められるほどの寄与とはなりません。これを超える「特別な贈与」「特別な寄与」であることが必要です。

 そのあたりも,ご理解いただければと思います。