使途不明金がある場合(引き出していないと主張された)

Q 亡くなった母の通帳に,多額かつ多数回の出金履歴があります。

  長男が母の預貯金口座を管理していたので,長男が引き出しで使ってしまったのではないかと思いますが,長男はこれを否定しています。どうしたらよいでしょうか。

 

A 預金を長男が引き出したということに関連する証拠を集める必要があります。

 

・払戻場所となったATMの場所とその意味(流用者の自宅や勤務先の近くか)

・本人(老母,老父など)が払戻場所となったATMに自ら行くことができたかどうかにかかわる資料

・本人(老母,老父など)と流用者(長男など)との間の「財産管理契約書」

・介護認定資料や医療記録の財産管理に関する記載

・(払い戻しが窓口で行われていた場合)払戻請求書の筆跡,代理人の記載などの,預金通帳,キャッシュカード等を所持していた者が誰であるかに関連する資料

・通帳等の管理状況(流用者が同居していたこと,入院等により本人が管理できなかったこと等)に関する資料

・流用者の財産状況に関する資料(引出後に財産が増加したこと等)

が有効な証拠となる場合が多いです。

 

  そのうえで,流用者(長男など)の関与を否定する説明が合理的かという点などから,長男が引き出したと認められるかが左右されることになります。

  特に,①本人の生活状況に変更がない時期や施設入所中で現金の必要がないといった時期に多額の出金がある場合や,②本人の認知能力の低下や流用者(長男など)との同居等のあった時期から急に出金が増えているような場合③本人が引き出せないような日時,場所,状況で引き出されているような場合には,合理的な説明がない限り,本人以外によって出金された可能性が高いといえます。その際は,本人の過去の収支状況等と比較して,自然といえるかも重要となります。

  いずれにしましても,一度ご相談ください。

 

☞参考:こちらもご覧ください。使途不明金がある場合の法的手続etc.