死因贈与を,遺言のように自由に撤回することができますか?

Q 死因贈与を,遺言のように自由に撤回することができますか?

 

A 原則として撤回可能と解されていますが(民法1022条以下,民法554条),判例は,負担付死因贈与については,贈与の効力が生じる前であっても,負担の全部又はそれに類する程度の履行がされれば,原則として撤回できないと解しています。

(解説)

 民法554条は,「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については,その性質に反しない限り,遺贈に関する規定を準用する。」と定めています。

 死因贈与の契約としての性質を重視して,単独行為としての遺言の撤回に関する規定(民法1022条以下)を準用しない考えも有力ではありますが,判例・通説は,死因贈与には遺言の撤回に関する規定(民法1022条以下)が準用され,書面による場合であっても,贈与者は自由に撤回し得るとしています。

 ただし判例は,負担付死因贈与については,実際に負担の全部又はそれに類する程度の履行があった場合に限って,原則的に撤回し得ないと解しています(最高裁判所昭和57年4月30日・民集36巻4号763ページ)。

 

☞参考:こちらもご覧ください。遺言の撤回について