父の自筆証書遺言の筆跡や内容に違和感があります。認知症の影響も心配で、どう対処すればよいですか?

Q質問
父が亡くなり、長男から「父が全財産を長男に相続させる」という自筆証書遺言を示されました。遺産には父が創業した会社の株式(100%)が含まれています。私は経理部長として会社に貢献してきましたが、父の筆跡とは異なるように感じますし、父は生前常々、「3人で会社を盛り上げてほしい」と言っていたので、内容にも違和感があります。父は数年前から認知症と診断されていて、この点も気になります。いずれにしましても、私は非常にショックを受けていますので、どうすればよいか相談したいです。

A回答
まず、遺言書の筆跡が父のものと異なる可能性がある場合や、父が遺言の意味を理解したうえで遺言を残したのか疑問がある場合には、遺言無効確認訴訟を検討することが考えられます。                                筆跡鑑定や医療記録の精査により、意思能力の有無や偽造の有無を立証することが考えられます。                                   
仮に遺言が有効と判断された場合でも、遺留分侵害額請求権を行使することで、最低限の相続分を金銭で請求できます。
重要なのは、遺言無効の主張と並行して、予備的に遺留分侵害額請求の意思表示を行うことです。これは、消滅時効(1年)を防ぐために不可欠です。当事務所では、内容証明郵便による意思表示を初期段階で行い、依頼者の権利を確実に保全します。
また、遺留分の額を最大限確保するためには、相続財産の評価額を正確に把握することが重要です。未上場の会社株式の評価は特に専門性が高いため、時価評価や類似業種比準方式などを用いて適正な評価を行う必要があります。

複数の弁護士が意見交換を重ね、税理士と連携しながら、遺言無効と遺留分請求を両面から検討し、冷静かつ迅速に対応することで、納得のいく解決を目指すべき事案のように思います。