「遺留分の基礎となる財産の範囲~積極財産の評価」

Q 不動産(土地建物)と預金があるのですが、その全てを長男に取得させることとする遺言があり、遺産を全て長男が取得してしまいました。争えますか。

A 最低限の取り分として、遺留分という権利が法律上認められていますので、遺留分が侵害されている範囲で、財産を受け取ることができます。

 遺留分は、民法で規定されており、今回の事例のように、相続人が長男、次男の合計2名の場合、それぞれの遺留分は、2分の1×2分の1=4分の1の割合となります。
したがって、次男は、遺産の4分の1の額の金銭を長男に対して請求できます。
もっとも、不動産などの遺産の価格について争いが生じることがあります。
例えば、少しでも支払う額を少なくしたい長男が、遺産の額を低くするために、「不動産の価格は、2000万円しかない。」と主張し、次男の側が「いやいや不動産の額は4000万円は下らない。」と主張するといったものです。

 では、不動産の価格はどのように評価するのでしょうか。
不動産鑑定士による鑑定によって裁判所が判断するのが原則とされています。
もっとも、原告と被告が双方自己に有利な鑑定資料を裁判所に提出する場合も多く、その場合は、裁判所が不動産鑑定士に依頼して鑑定を行うこともあります。
また、鑑定を行わずに評価額を決定することもあります。
この場合は、
 ①固定資産評価額
 ②地価公示価格
 ③相続税の評価額
 ④都道府県調査価格
 ⑤近隣の取引額
 ⑥不動産会社の評価などに基づいて裁判所が評価額を定める場合もあります。

お悩みの際は、是非弁護士にご相談ください。