土地を分割する遺産分割協議の場合の課税関係

Q.質問

 父から相続した土地について、妹との間で遺産分割協議をしています。土地を分筆して分割取得する協議を行っていますが、どのように分筆分割しても、相続税の額は変わらないのでしょうか。

A.回答

共同相続人間で遺産である土地をどのように分割するかは、基本的に自由です。そして、土地を分筆分割して、相続した場合、基本的には、それぞれの相続人(質問では、あなたと妹)が、取得した部分ごとに相続税評価基準に基づいて土地を評価し、相続税の課税の基準となる評価額を算出します。

しかしながら、分割の方法が、現実の利用状況をおよそ無視したものであったり、分割後の土地が宅地として通常の用途に利用することができないなど、著しく不合理なものである場合、例えば、分割後の土地が、無道路地や帯状地になる場合、その地域の標準的な宅地の面積からみて著しく狭い宅地となる場合、現在のみならず将来においても有効な土地利用が図られないような土地となる場合、相続税評価基準に基づいて土地を評価した際に、実態と比較して相当に過小な評価額となってしまうことがあり得ます。

このため、遺産分割によってこのような「著しく不合理」な分割が行われたと認められる場合、分割「前」の土地を1画地(1画地の宅地の判定について、国税不服審判所の平成25年10月1日公表裁決は、その宅地を取得した者が、その宅地を使用、収益及び処分をすることができる利用単位又は処分単位であって、原則として、宅地の所有者による自由な使用収益を制約する他者の権利の存在の有無により区分し、他者の権利が存在する場合には、その権利の種類及び権利者の異なるごとに区分して行うものと解される旨判断しています。すなわち、1筆の宅地が1画地の宅地と判定されるとは限らないということになります。)として評価し、その上で、各土地の価額比で按分して土地の評価額を算出することととされています(相続税評価基本通達7-2(1)注書)。

その結果、このような「著しく不合理」な分割が行われた場合、分割して取得した土地の時価に比して、相続税の課税価額が高額となることとなりますので、分割方法を検討するに当たっては、注意が必要です。