遺産分割

遺産分割の相談をお受けした場合の解決までの道筋の典型例を説明します。
具体的事案によりバリエーションはありますが、参考にしていただければ幸いです。

<典型例>
1 法律相談
  初回法律相談ないしその後の法律相談において、
①    被相続人が誰であるのか。
②    大体の相続人の関係図はどのようなものか。
③    遺言状や遺産分割協議書(案)はあるのか。
④    どのような遺産があり、その評価額がいくらであり、どのような内容の遺産分割を希望していらっしゃるのか。
⑤    その他当事務所に相談にこられるまでの経緯や本件遺産分割における個別の事情等をお聞きします。

個別の事情の例(特別の配慮を要する事情)としては、
ア 相続人の範囲に争いがある
イ 遺言書の効力や解釈に争いがある
ウ 遺産分割協議書の効力に争いがある
エ 遺産の範囲に争いがある

場合や(これらは遺産分割の前提問題に争いがある事例です)

オ 使途不明金(預貯金の引き出し等)がある場合
カ 遺産収益の分配の問題がある場合
キ 相続債務の整理や分担の問題がある場合
ク 同族会社の経営権を巡る問題がある場合

などがあります(これらは遺産分割の付随問題がある事例です)。

これらの事情の聞き取りを踏まえ、今後どのような事柄が共同相続人間で合意がまとまらない理由となりそうであるのか(争点)など、個別の事情を踏まえ、法的手続きを選択してゆきます。

一般的には、遺産分割調停の申立てを行う場合が多いといえますが、上記のアないしエに争いがある場合には、訴訟手続を先行させることも想定されます。

 2 費用の見積もりと委任契約
どのような手続きにより遺産分割をおこなってゆくのかについての見通しが立てば、概ね弁護士費用の見積もりができますので、この時点で費用の見積もりをさせていただきます。
費用の説明にご納得をしていただけた場合は、委任契約を締結し、委任状をいただきます(※1)。
※1 共同相続人のうちの複数の方から受任をすることにつきましては、利益相反に関する説明をさせていただいた上で、受任をさせていただきます 。

 3 遺産分割調停申立ての準備(資料収集を含む。)
遺産分割調停申立のために必要な準備を行います。
遺産分割調停申立のためには、概ね次のような書類が必要となります。
①    戸籍関係書類
   ・相続人全員の戸籍謄本(原本:現在戸籍については取得後3か月以内)
   ・除籍謄本・改正原戸籍謄本(原本:被相続人出生時以後死亡までの間の全戸籍)
   ・相続人全員の戸籍の附票又は住民票(原本:取得後3か月以内)
   ・被相続人の住民票除票又は戸籍の附票(原本)
②    遺産関係書類
   ・遺産全体:相続税申告をしている場合は、申告書控え
   ・不動産:登記簿謄本又は全部事項証明書(原本:取得後3か月以内)
   ・不動産:と固定資産評価証明書(原本:直近の年度のもの)
   ・不動産:住宅地図・公図の写し等不動産の位置や形状等を示す書類
   ・不動産:建物の平面図
   ・借地・借家:契約書
   ・預貯金:通帳写し又は残高証明書
   ・株式、社債、投資信託等:証券会社発行報告書等
   ・生命保険:証券
   ・相続債務:金銭消費貸借契約書、担保設定契約書、支払予定表等(※)
※相続債務は、遺産分割の対象とはならず、法的には相続により当然に各相続人に法定相続分の割合で承継されるものです。しかし、調停においては、債権者の承認を前提に相続人の一人に債務引き受けの合意をする場合がありますし、担保不動産の帰属を検討する際に考慮する必要がありますので、残額を予め確認させていただきたいと思います。

③    前提問題関係(必要に応じ)
   ・遺言状
   ・遺産分割協議書
   ・遺産分割協議書案(これまでの協議の内容等を示す)
   ・前相続に関する遺産分割協議書 

4 遺産分割調停の申立て
上記3の遺産分割調停申立のための準備ができると、遺産分割調停を申し立てます。

5 調停手続
申立後概ね1ヶ月程度で第1回調停期日が開かれ、その後複数回にわたり調停期日が開かれます。
第1回調停期日においては、調停委員から当事者に対し、今後の調停手続の進め方や調停が不成立となった場合の手続等に関する簡単な説明がされます。続けて、まずは申立人の側から申立書記載の主張についての説明等が行われ、続いて相手方から、これらに対する主張等がされます。調停手続は原則として、一方当事者のみが調停室に入室する形で行われますので、他方当事者は、相手方の言い分を調停委員を通じて聞くことになります。
調停委員は、その後複数回の調停手続を重ねながら、遺産分割案の調整に向けて、問題点の整理と調整を行います。

6 調停成立(※2)
最終的に当事者間で遺産分割方法につき合意ができる状況となった場合は、合意内容を条文の形に整えて、これを調停条項とする調停が成立します。
※2 調停が不成立となった場合は、審判手続に移行します。

7 調停調書に基づく実行
調停調書において合意された内容(遺産分割の内容)のとおり、金銭を支払い、物を引き渡し、登記の移転をするなどの履行行為を行います。