父の高額な介護機器購入や第三者との財産管理契約は無効ではないでしょうか。

Q 父は明確に認知症と診断された訳ではないのですが,認知能力は低くなってきていると思います。そのような父が,先日,高額な介護機器を購入していたり,さらには財産管理を第三者に委ねる内容の契約をしていたりしたことが分かりました。こういった契約は無効ではないのでしょうか。

A 意思能力(事理弁識能力)を欠いた状態でなされた契約は無効です。そのため,もしお父様がその契約をした時点で意思能力を欠いていた場合,その契約は無効ということになります。

ただし,一言に契約と言っても,その内容や,契約により生じる(得られる)効果は様々です。内容が難しいものもあれば,比較的理解が容易なものもありますし,契約の効果をみても,金額の多寡は様々です。そのため,契約の有効性は,お父様の認知能力の状態と,契約の内容や効果を踏まえて,個別具体的な事案ごとに検討し判断されることになります。

本件の場合も,お父様の認知能力が低いと言うのはどの程度なのか(それには立証の問題もあります),そして,なされた契約の内容や効果がどういったものかを検討する必要がありますが,一般的には,高額な機器の購入や,ある程度永続的に行われる財産管理契約については,慎重に判断されることが多いと思います。