労働審判

●労働審判とは

労働審判は,労働者と使用者の紛争について,迅速かつ妥当な解決を目指すための裁判所の手続きです。
労働審判は,労働審判委員会が,調停(専門家を交えた話し合い)による解決を図ることもありますが,調停による解決ができない場合には,委員会が一切の事情を考慮して最善と思われた解決策を「審判」として当事者に命じます(これに不服がある場合には,正式な訴訟に移行します)。
迅速さが求められるため,申立から40日以内に第1回期日が開かれ,さらに,2回目の期日が終了するまでに主張と証拠の提出を終えなければならず,また原則として3回以内の期日で審判が下されます。
つまり,短い期間で主張と証拠を準備しなければなりません。
そのため,審判(裁判所の判断)を得るにせよ,調停(話し合い)で解決するにせよ,企業に有利な解決のためには早期の準備と資料収集が欠かせません。

●労働審判を受けたら

労働審判の申立を受けた場合,受けた側では,第1回期日前に提出する答弁書において,申立人が提出した申立書に対する認否反論,予想される争点やこれに関わる事実,証拠等を示していく必要がります。
前述のとおり,審判の申立から期日までの期間は短く,申立を受けた側においては,迅速な準備が要求されます。
よって,速やかに弁護士と相談して,紛争上の問題点を把握し,反論や対策を考える必要があります。

●労働審判を申し立てる場合

労働審判は,非公開,迅速さ,妥当な解決を目指す,という点を特徴とする手続きです。
つまり,公に,事実を丹念に探求されるよりも,素早い解決を目指したい紛争においては,むしろ使用者側から労働審判を申し立てることも考えられます。
その場合,期日が短く,また,申立の段階で予想される争点やこれに関連する重要な事実,証拠等の情報も整理する必要があるため,早期に準備を行い,また,解決に向けた見通しを立てることが重要です。