権利変換計画における財産補償

①再開発ビルの権利床を取得しない地権者等への補償

市街地再開発事業(ここでは,市街地再開発組合によるものを想定します)において,施工地区内に土地建物等を有していた者は,「権利変換計画」の定めに従って,計画で定めた権利変換期日に新たに建築される建物の一部等を取得します。ただし,再開発組合の設立認可の公告後30日以内に地区外に転出する旨を組合に申し出た場合には,建物に代わり市街地再開発事業より消滅する権利に相当する額の金銭の給付等を受けることになります。

そして,権利変換計画においては,権利者ごとに,その有する権利とその価額が公示されます。そして,権利変換期日までに,権利の価額を基礎として算定された補償金が支払われます。

②補償に不服がある場合

補償される金額に不服がある場合,まずは,市街地再開発組合により,権利変換計画策定後,都道府県知事の認可の前に行われる「縦覧」の際に,意見書を提出し,市街地再開発組合による見直しを促すことになります(都市再開発法83条2項)。意見書を受けて,市街地再開発組合が適当と認めれば計画が修正されますが,意見書を採択しなければ,その旨が意見書提出者に通知されます(同法83条3項)。

意見書が採択されなかった場合,それから30日以内に,都道府県の収用委員会に対して,補償の金額についての裁決を申請することができます(同法85条1項)。収用委員会は,権利の価額について判断し,採決を行います。

採決についても不服がある場合には,裁判所に訴えを提起することになります(同法85条3項)。