有期雇用の問題

1.契約社員と正社員との処遇に差をつけてもよいか?

まず,正社員との間で待遇に差をつけるには,就業規則を作成している会社であれば,就業規則に契約社員については別の定めをするといった規定を設け,別途契約社員等の労働条件について就業規則等を作る必要があります。

そして,法律上,有期労働契約を締結している労働者の労働条件は,「期間の定めのない労働契約を締結している労働者」(正社員)の労働条件と相違する場合,その相違は,「労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。),当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して,不合理と認められるものであってはならない。」とされています(労働契約法20条)。

ここで,労働条件が不合理か否かは,労働条件ごとに個別に判断されますが,通常,通勤手当,社員食堂等の利用,安全管理などで差をつけることは,特段の事情がない限り不合理なものと解されていますので,注意が必要です。

2.期間満了で雇止めをする時,何が問題か?

(1)労働契約法19条
期間の定めのある非正規労働者との間の労働契約については,①有期労働契約が過去に反復して更新されており,その契約期間の満了時に契約を更新しないことが,契約期間の定めのない労働者の解雇と社会通念上同視できると認められる場合や②労働者において,契約期間の満了時に労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められる場合,には,客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当な場合でなければ,使用者が更新を拒絶することはできません。

したがって,契約を更新しない可能性がある場合には,実質的には正社員と同じであるとか,更新を期待する合理的な理由があるなどと判断されないように,採用時や更新時などにおいて,区別を意識した管理が必要となります。

(2)新規採用後の有期雇用
また,新規採用時の労働契約における期間の定めが,実際には試用期間を意味するとされることもあります。

判例(最高裁平成2年6月5日判決・民集44巻4号668頁〔神戸弘陵学園事件〕)では,私立高校に1年の契約期間で雇われた「常勤講師」の期間満了による雇止めの効力が争われた事件において,使用者が労働者を新規に採用するに当たり契約期間を設けた場合,その設けた趣旨・目的が労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは,期間の満了により雇用契約が当然に終了する旨の明確な合意が成立しているなどの特段の事情が認められる場合を除き,同期間は契約の存続期間ではなく,無期労働契約下における試用期間(解約権留保期間)と解すべきであるとされています。

したがって,このような場合に雇止めができるか否かは,試用期間経過後の本採用を拒否できるか,という問題と同じように考えるべきです(その場合の判断方法については「本採用前(内定後や試用期間中)の労働者の扱い」を参照ください)

3.無期雇用への転換

複数回の有期労働契約の契約期間を通算した期間(ただし,間に労働契約のない空白期間が6カ月以上ある場合には通算されません)が5年を超える労働者が,使用者に対し,現に締結している有期労働契約の契約期間が満了までに,期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは,使用者は当該申込みを承諾したものとみなされます(労働契約法18条)。

有期雇用を利用する場合には,この規定も念頭に置いた労務管理が必要でしょう。