情報公開(自治体職員の皆様へ)
情報公開制度については,各自治体において情報公開条例や個人情報保護条例を定め,それに基づき,公開の可否が判断されているかと思われます。
1 情報公開の可否の判断
情報公開の可否は,個々の事案ごとに,非公開の要件に当てはまるか否かの判断が微妙なケースも多く,条例の文言やマニュアル等のみで判断することが困難なケースも多いかと思われます。
また,一見非公開の要件に当てはまる場合でも,自治体の裁量で開示すべき可能性はないのか,一部分のみ非開示とすれば足りるか(つまり,一部は開示すべきではないか)など,検討すべき事項は多岐にわたります。
そして,いざ非開示とする場合には,理由不備の違法が生じないように,適切な理由付けを行う必要があります。この点,判例では,開示請求者において,条例所定の非開示事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知しうるものでなければならず,単に当該規定を示すのみでは原則として不十分とされています(最高裁平成4年12月10日判決)。
また,近年では,情報を非公開としたことが争いとなるだけでなく,安易に個人情報等を公開することにより私人間での紛争が発生し,これについて私人から自治体の責任が追及されることも想定されます。したがって,公開する場合であれ非公開にする場合であれ,様々な権利利益,公益などをふまえた慎重な判断と理由付けが必要になります。
2 訴訟対応
さらに,行政訴訟となった場合には,住民は,文書提出命令の申立や,求釈明(主張の明示を要求したり,証拠提出を求めたりすること。)などといった手段により,行政機関に事実関係や証拠の明示を求められることがあります。また,理由の差し替えが可能であるか(この点,判例上は,条例が理由付記を求めている場合,その定めの趣旨から判断しています。最高裁平成11年11月19日判決)など,訴訟となった段階で新たに検討すべき事情も多々ありますので,弁護士の関与が不可欠です。
3 条例・規則・運用基準の改定
また,ある種類の情報を非公開としたいが,既存の条例等では対応できないような場合,条例自体の改定という立法措置を取ることで,時局に応じた対応が可能となることもあります。そして,実際に改定する場合には,改定後の例規がどのような効果を生じるのかを,日々出される裁判例や,国や他都市等の実例等をもとに検討しなければなりません。
また,各自治体等において定められた運用基準も,裁判例,実例等も踏まえて,社会情勢に合わせて改訂しなければ,訴訟等において運用基準と異なる判断がされる可能性も大きくなります。
したがって,例規等の改定においても,法解釈に通じた弁護士に相談することが有効です。
4 相談
当事務所は,自治体の皆様からの相談,依頼を歓迎しております。ぜひご相談ください。
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