団体交渉

●企業内組合への対応

 企業別の組合がある場合,組合との関係維持は日々の業務を円滑に行うためだけでなく,組合との紛争によるコストを避けるためにも欠かせません。
 また,労働組合からは労働協約の締結や改定,就業規則改定に関する交渉,リストラへの反対,さらには個別の解雇や人事異動への反対など,さまざまな事項についての交渉を求められることがあります。その場合,使用者はそれが労働条件と関係のあるものである以上は,誠実に交渉に応じなければなりません。このことは,組合からの要求を理由のないものとして断るつもりだとしても同様です(もちろんですが,交渉の上で要求を断るのは自由です。)。

●企業内組合との労働協約

 企業内組合がある場合,労働協約や,過半数が加入する労働組合との協定(残業をさせるためのいわゆる36協定がその代表です)を締結することで,使用者と労働者の歩み寄りにより,双方に利益のある労働条件等を決めることが可能です。
 通常,企業内組合がある場合に弁護士が交渉に立つことはあまりありませんが,例えば新たに締結する協約の文言のチェックなど,法的な考え方を持つ弁護士に相談いただく方が,何かと安全・有効と思われます。

●いわゆるユニオンへの対応

 また,企業内の組合がない場合でも,従業員が地域の組合(いわゆるユニオン)に加入して,その組合が団体交渉を求めてくることもあります。さらに,企業内に組合があっても,これに不信感を持つ従業員が,外の組合に加入して自分の要求を主張することもあります。
 この場合,企業内組合と異なり,企業と組合との信頼関係等がないことや,多くの場合特定の問題のみが協議の対象となることもあり,交渉に苦労することもあるかと思われます。また,組合によって,穏便な解決を求めるところもあれば,ただ要望を突きつけるだけで,要求が受け入れられないと声高に抗議するようなこともあり得るため,組合の性格に応じた対応が必要となります。
 そして,企業としては,どのような組合が相手で,何が協議の対象であれ,それが労働条件と関係あるものである限り,誠実に交渉に応じる必要があります。

●ぜひご相談ください

 組合との交渉に当たっては,組合の要求に法的に応じる必要があるのか,どのような対応をしたら違法なのかなど,法律上の知識を踏まえた準備が重要です。そのため,弁護士に相談して,どのような交渉や対応を行っていくべきかの戦略を立てることが安全です。